それはミラーレスがスタンダードになる少し前のお話。 ニコンから「レンズ交換式アドバンストカメラ」というやや奇怪な名称で発売されていたカメラたちがありました。それがこのNikon1シリーズ、通称:ニコワンです。CXフォーマットという1インチセンサを積んだこの、けっしてミラーレスとは呼称しない(させない)カメラの初期のフラグシップモデルがこのNikon1 V2です。
ニコワン初代のフラグシップモデルV1はEVFを備えながらも昔ながらのフォルムをできるだけシンプルにしたような独特のデザインでした。それ故に一部の物理操作体が省略され使い手を選ぶ機種となってしまいました。
そこでこの2代目V2。現代的ないわゆる一眼然としたスタイルですね。深いグリップが好印象です。横幅10cm、重さ300g程度とミラーレスもとい、EVFを搭載したレンズ交換式カメラとしては驚異的な小ささ。まさに手乗り一眼です。
初代から大きく変わったデザインでひときわ目を引くのが、この高く張り出したEVF。144万ドット・視野率100%のファインダーは、性能が高く自然と覗き込みたくなります。なお、側面にUSB端子がありますがこちらは充電には対応していません。
背面から。しっかりとしたサムレスト、金属製のしっかりとしたボタン・ダイヤル類。「こんな小さくても、れっきとしたフラグシップモデルなのだ。」と語りかけてくるようです。
初代から大幅に改善された操作感は、2つのダイヤルによるもの。とくに、右肩端のダイヤルは回すだけでなく前面方向へ「押し込む」操作もできるので活用の幅が広がります。
底面から。グリップの深さがよく分かると思います。これは、バッテリー室の確保にも寄与していて、こちらにバッテリーを逃がすことによって、ボディを薄くしつつもより大型のバッテリーを採用することが可能になったのです。(ただし、本機種のみの専用品ですが。)
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さて、外見を舐め回したところで、作例です。今回は一番わかりやすく味のある写真が取れるニコン1マウントのレンズ「 1 NIKKOR 18.5mm F1.8」を使用しています。換算50mmの画角でf1.8のレンズは、いわゆる「撒き餌レンズ」に通ずるスペックです。開放で撮ると、1インチセンサーということを忘れさせるボケ感を味わえます。
とはいえ、小さなセンサーですから深くピントを合わせるとこんな形に。全体的にあっさりとした色乗りになるようです。
道具街の茶器たちはどれも個性的で思わず撮りたくなってしまいます。中心からやんわりとボケてゆく描写は、「これはちゃんとした一眼なんだなぁ」と思えてきます。
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さて、スナップのあとは飯テロ。ボケ味のある明るいレンズは食べ物を撮っても生えます。最短撮影距離0.2mは、思ったよりも近寄れる印象です。
ふんわりした描写は、食欲を掻き立てます。
明るいレンズと自然光と美味しい弁当。優勝が約束された構図です。
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